増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
3章 知っておくべきバイオインフォマティクスについて
バイオインフォマティクス解析の流れ—一次解析,二次解析,治療エビデンスの検索
谷嶋 成樹
1,2,3
1株式会社テンクー
2株式会社CyberomiX
3慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センター
キーワード:
がん遺伝子パネル検査
,
バイオインフォマティクス
,
アノテーション
,
キュレーション
,
ドライバー遺伝子変異
Keyword:
がん遺伝子パネル検査
,
バイオインフォマティクス
,
アノテーション
,
キュレーション
,
ドライバー遺伝子変異
pp.1136-1141
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101136
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はじめに
がんゲノム医療では次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)を用いたがん遺伝子パネル検査でがん組織の体細胞DNA変異を解読し,バイオインフォマティクス解析によって治療選択に必要な情報を得る.NGS解析で得られた遺伝子変異のなかからドライバー遺伝子変異の候補を抽出し,それに基づく推奨治療(molecular based recommended therapy:MBRT)の選択に必要な情報を得る.がんゲノム医療の現場では推奨治療をエキスパートパネルと呼ばれる医師を中心とした専門家会議で吟味し,主治医に情報を提供する.
バイオインフォマティクス解析の流れを図1に示す.本稿ではバイオインフォマティクスについて,体細胞変異情報を得る一次解析,変異の意義を解析してがんのドライバー遺伝子変異候補の情報を得る二次解析,そしてエキスパートパネルで推奨治療の吟味に必要な治療エビデンス検索の3つの段階に分けて解説する.

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