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第1章 呼吸器
[気管支喘息]気管支喘息におけるグループ2自然リンパ球(ILC2)研究の歴史と展望
加畑 宏樹
1
1慶應義塾大学 医学部呼吸器内科
キーワード:
リンパ球
,
IL-33
,
TSLP
,
ステロイド抵抗性
Keyword:
リンパ球
,
IL-33
,
TSLP
,
ステロイド抵抗性
pp.397-401
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_397
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Summary
・ILC2は2型サイトカインを産生する自然リンパ球である.2010年に発見され,気管支喘息をはじめとしたアレルギー・好酸球性疾患の病態に関与している.
・ILC2は特定の環境下でステロイド抵抗性となるため,とくに難治例に対する治療標的として重要視されている.
・われわれを含めたさまざまな研究グループから,ILC2に影響を及ぼすサイトカインや脂質メディエーター,神経ペプチドなどが同定され,これらは今後の治療ターゲットとして期待されている.
・最近の研究により,ILC2は組織や疾患によって性質や機能が異なる多様性のある細胞であることが明らかとなり,病気と関連した “病原性” ILC2のみをターゲットとした治療戦略が望ましいと考えられるようになった.
・ヒトにおけるILC2研究はやや遅れていたが,最近ようやく遺伝子改変技術が確立して,ヒトにおいても “病原性” ILC2の分子メカニズムや治療ターゲットが明らかになりつつあり,今後の臨床応用が大いに期待されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2024