特集 エキスパートはこう読む! 検査値の臨床的解釈―日常臨床での疑問にお答えします
[Chapter 7] 神経
[神経感染症における脳脊髄液の蛋白濃度に関する疑問]脳脊髄液蛋白濃度は,髄膜炎や脳炎の診断と治療効果判定の指標になりますか?
石原 正樹
1
,
中嶋 秀人
1
1日本大学医学部内科学系 神経内科学分野
キーワード:
脳脊髄液蛋白濃度
,
非特異的・支持的所見
Keyword:
脳脊髄液蛋白濃度
,
非特異的・支持的所見
pp.1261-1263
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_1261
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お答えします
中枢神経感染症の診断と治療経過の判定において,脳脊髄液蛋白濃度の上昇は非特異的であり,支持的な参考所見に留まります.多くの中枢神経感染症で脳脊髄液蛋白濃度は上昇しますが,高齢者,糖尿病,脊柱管狭窄症でも上昇がみられるため,必ずしも神経疾患を示すものではありません.また,髄膜炎や脳炎,脊髄炎では治療経過とともに蛋白濃度も正常化していきますが,早期に正常値になる場合もあれば,正常化に時間がかかることもあります.したがって,蛋白濃度の上昇だけで診断を確定することや治療完了を判断することはできません.
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