特集 エキスパートはこう読む! 検査値の臨床的解釈―日常臨床での疑問にお答えします
[Chapter 7] 神経
[神経感染症における脳脊髄液の糖濃度に関する疑問]ウイルス性髄膜炎を疑って腰椎穿刺を行い,単核球優位の細胞数増多を認めましたが,糖濃度46mg/dL,血糖120mg/dLと,脳脊髄液糖濃度が低値でした.この場合,原因はウイルスではなく,細菌や結核,真菌を考えるのでしょうか?
石原 正樹
1
,
中嶋 秀人
1
1日本大学医学部内科学系 神経内科学分野
キーワード:
脳脊髄液糖濃度低下
,
脳脊髄液糖/血糖比
Keyword:
脳脊髄液糖濃度低下
,
脳脊髄液糖/血糖比
pp.1264-1265
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_1264
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お答えします
ウイルス性髄膜炎では,脳脊髄液糖濃度が正常範囲内にあることが多いですが,一部の症例では軽度の低下が認められることがあります.とくに,ムンプスウイルスやヘルペスウイルスによる髄膜炎では,脳脊髄液糖濃度が正常から軽度に低下することが報告されています.しかし,脳脊髄液糖濃度が著しく低下している場合や,脳脊髄液糖/血糖比が0.6以下である場合には,ウイルス性髄膜炎の診断に加えて,細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎,さらにはがん性髄膜炎の可能性を念頭に置く必要があります.これらの疾患では,脳脊髄液糖濃度の低下が顕著であり,とくに細菌性髄膜炎では極端に低くなることが特徴的です.
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