特集 エキスパートはこう読む! 検査値の臨床的解釈―日常臨床での疑問にお答えします
[Chapter 7] 神経
[神経感染症における脳脊髄液の細胞数・分画に関する疑問]感冒症状が先行し,頭痛,発熱,嘔気のため紹介受診した患者に項部硬直を認めました.脳脊髄液検査において,多形核球優位であるものの細胞数の上昇は軽度(112/μL)でした.この場合,抗菌薬を使用せずにウイルス性髄膜炎として治療してよいでしょうか?
石原 正樹
1
,
中嶋 秀人
1
1日本大学医学部内科学系 神経内科学分野
キーワード:
脳脊髄液
,
細胞分画
,
多形核球
,
単核球
,
髄膜炎
Keyword:
脳脊髄液
,
細胞分画
,
多形核球
,
単核球
,
髄膜炎
pp.1258-1260
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_1258
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
お答えします
初期治療においては,細菌性髄膜炎の可能性が否定できなければ,抗菌薬の使用を推奨します.問診や診察所見に加え,脳脊髄液塗抹・培養,抗原検査,PCR検査などのほかの検査を組み合わせて,診断の確定を目指すべきです.初回の検査で確定診断ができない場合は,翌日以降の腰椎穿刺の再検査も含めて鑑別することをお勧めします.なお,ウイルス性髄膜炎であっても,初期には多形核球優位の所見が得られる場合があり,経過観察と再検査が必要です.治療は対症療法が主体となりますが,単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスの関与が疑われる場合は,aciclovirを適切な用量で使用することを検討するべきです.
© Nankodo Co., Ltd., 2024