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第5章 消化器系に作用する薬剤
[上部消化管疾患治療薬]
消化管運動賦活薬
-急性・慢性症状に対して
山脇 博士
1
,
二神 生爾
2
1日本医科大学多摩永山病院 消化器内科
2日本医科大学武蔵小杉病院 消化器内科
pp.744-749
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_744
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・消化管運動賦活薬は,読んで字のごとく消化管運動を “賦活” するものと解釈され,低下した消化管運動の状態において,口腔から摂取した内容物をより前方(肛門側)に移送する運動を促進する薬剤である.しかし,単純に内容物の移送を促進するのではなく,生理的状況に近い “適切な速さ” で内容物を移送することを目的としている.
・機械的イレウス,消化管出血,消化管穿孔などの疾患が疑われる際には禁忌である.
・metoclopramideは褐色細胞腫,domperidone はプロラクチノーマの病態を悪化させるため,使用禁忌である.
・感染を契機とした機能性ディスペプシア(FD)症状が明らかであり,体重減少を伴う症例や早期飽満感を強く訴える症例などは早めに専門施設に紹介する.
・消化管運動賦活薬は多岐にわたる作用機序があり,臨床において症状改善に有用であるが,症状の原因は多様であるため,漫然と長期使用をせず,問診と身体診察にて原因疾患を絞ることが重要である.
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