特集 プライマリケア医に必要な情報をまるっと整理 くすりの使い方便利帳
第5章 消化器系に作用する薬剤
[上部消化管疾患治療薬]
消化管運動抑制薬
三原 弘
1
1札幌医科大学 総合診療医学講座
pp.750-754
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_750
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
・腹部疝痛に対する対症療法として蠕動抑制目的で消化管運動抑制薬が使用される.
・オピアト作動薬,抗コリン薬,選択的ムスカリン受容体拮抗薬がある.
・オピアト作動薬であるtrimebutine maleateは消化管運動亢進時・低下時のどちらでも蠕動を正常化させ,過敏性腸症候群(IBS),高齢者で使用しやすい.
・抗コリン薬は平滑筋収縮を抑制し,消化管運動亢進を正常化させ,前立腺肥大症,閉塞隅角緑内障,重篤な心疾患,麻痺性イレウスでは禁忌である.急性の腹痛にはacetaminophenが第一選択であり,抗コリン薬は補助薬である.
・選択的ムスカリン受容体拮抗薬であるtiquizium bromideは消化管蠕動を抑制することで疝痛発作を緩和し,胃酸,ガストリン分泌も抑制する.肝障害に注意が必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2023