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赤血球の賦活化
柴 雅之
1
1日赤中央血液センター
pp.757-758
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901659
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赤血球は保存によりその機能は急速に低下する.特に赤血球の酸素運搬能や輸血後生存率は,赤血球の代謝活性と密接な関係があり,解糖系の代謝中間体である2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)やアデノシン三リン酸(ATP)を測定することで,その機能を推測できる1).赤血球製剤は通常4〜6℃で保存されるが,保存とともにATPが低下すると,赤血球形態も円盤型から有棘型,さらに球型へと変形する.このような形態変化をきたした赤血球は脾の単球・マクロファージ系に認識され,循環系から排除される.2,3-DPGはヘモグロビンの酸素親和性調節の面から重要な中間体である.2,3-DPGが保存により低下すると,ヘモグロビンは酸素を放しにくくなり,酸素運搬能は低下する.しかし,輸血された赤血球が血管内を循環していると,赤血球にとっての環境が回復することで,再び赤血球はATPや2,3-DPGを産生し,有効に機能する.
現在の濃厚赤血球(CRC)は保存21日で80〜85%の生存率を有しているが,2,3-DPGは維持できないため酸素運搬能は低下している.また,最近赤血球保存液としてMAP液が導入された2).MAP液により濃厚赤血球中に残存するリンパ球,血漿などの輸血副作用の原因物質が減少し,より安全なMAP加濃厚赤血球(RC-MAP)となった.
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