連載 Focus On
喀血の治療
-気管支動脈塞栓術の最新動向:リアルワールドデータを中心に
石川 秀雄
1
,
大町 直樹
1
,
大邉 寛幸
2
,
康永 秀生
2
1えいしん会岸和田リハビリテーション病院喀血・肺循環センター
2東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学
pp.929-935
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_929
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わが国は喀血先進国である.2017年以降,わが国からは数多くの喀血関連のエビデンスが輩出されている.喀血に対するカテーテル治療である気管支動脈塞栓術(BAE)は,かつての外科手術までの橋渡し治療という位置づけから,現在では有効性と安全性の向上により第一選択治療とされている.喀血による院内死亡率は10%程度ときわめて高い.ところが先進国たるわが国でさえ年間数万人に及ぶ喀血入院患者の4%にしかBAEは実施されていない.BAE発祥の地,フランスではさらに低く2.4%である.このような興味深い記述疫学データがリアルワールドデータを用いて明らかになった.本稿ではここ数年でわれわれが構築したエビデンスを軸に,喀血とBAEの最先端を解説する.
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