特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
II.呼吸器系
1.血痰と喀血
喀血
三上 理一郎
1
1東大・第3内科
pp.948-951
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204161
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
診断の進めかた
かつての時代,喀血は肺結核の臨床的象徴でもあった.しかし,こんにちではその原因として肺がん,気管支拡張症など多くの疾患を鑑別しなければならない.喀血および血痰は気道における出血が原因となって,血液そのものまたは血液を混じた痰を喀出することを意味している.このような主訴を有する患者に接したさい,つぎのように診断を進めてゆく.(1)その出血が気道からのものであることを確かめなければならない.食道の静脈瘤破裂や胃上部よりの出血,すなわち吐血とまちがわれることがある.(2)気道出血をきたす原因疾患をいろいろ念頭にうかべる.(3)診察および検査を進め,原因疾患を発見確認してゆく.喀血ならびに血痰は患者にとってかなりショックであるので,もっとも重大な肺がんをまず念頭において,なるべく早急に診断を決めることが必要である.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.