Japanese
English
特集 呼吸器と救命救急
喀血
Hemoptysis
戸島 洋一
1
,
栗山 喬之
2
Hirokazu Tojima
1
,
Takayuki Kuriyama
2
1東京労災病院呼吸器内科
2千葉大学肺癌研究施設内科
1Division of Respiratory Medicine, Tokyo Rosai Hospital
2Department of Clinical Research II, Institute of Pulmonary Cancer Research, School of Medicine University of Chiba
pp.867-871
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901113
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喀血と救命救急
直接生命に危険を及ぼす喀血とは,原因を問わず,喀血量の多い場合,出血の速度が速い場合,肺内に吸引あるいは停滞する血液量が多い場合であり,元の肺機能によっても異なる.大量喀血(1回量500ml以上,24時間以内に600ml以上などの定義がある1))の場合の直接死因は出血死ではなく窒息であり,一瞬のうちに心肺停止状態となる例も多い.1968年の論文だが,4時間以内に600ml以上の喀血を来した症例の死亡率は71%に上ったのに対し,4〜16時間に600ml以上の場合は45%,16〜48時間に600ml以上では5%の死亡率であったという報告がある2).急速な大量喀血の死亡率は高い.筆者らも以下に示す症例1や肺癌で放射線照射後の症例などで,病棟に駆けつけすぐに心肺蘇生をしても救命できなかった苦い経験が何回かあり,こういった症例は大量喀血の前に徴候をみつけられなければ救命は困難である.自力で血液を喀出しているが窒息が切迫している例,大量の喀血が反復している例,肺胞出血のように喀血量よりも肺内の血液停滞による呼吸不全が問題となる例などが,緊急治療の対象として重要であろう.
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