今月の主題 内科エマージェンシー
症候別内科エマージェンシー
喀血
楠目 馨
1
,
松井 祐佐公
1
1京都大学胸部疾患研究所内科2
pp.2110-2113
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902993
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ポイント
●喀血の主たる死因は窒息であるため,気道の確保を優先する.
●1回喀血量100ml以上,あるいは24時間以内の喀血量が600ml以上の場合,また少量〜中等量喀血であっても換気不全が進行する場合には,速やかに気道の確保を行い,専門医を呼ぶとともにバイタルサインのチェック,循環動態の維持を図る.
●気管支鏡は喀血患者の全例に実施するが,特に出血が持続する患者には,ベッドサイドで直ちに気管支鏡を実施し,出血部位の確認と止血を行い,換気の確保を行う.
●持続する出血により気道確保が困難な場合は緊急外科手術を考慮する.
●限局性病変で大量喀血の場合および3〜4日持続する出血によりショック状態が改善できない場合には外科適応となる.
●出血部位不明,一秒量800ml以下,両側広汎肺疾患の存在,転移の明らかな肺癌では外科手術は禁忌である.これらの場合には気管支動脈塞栓術が適応となる.
●胸部CT撮影は,血痰・喀血で初診するすべての患者の診断,特に潜在肺癌,気管支拡張症の診断に有用である.
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