特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第11章:腎 臓
妊娠高血圧腎症において血清尿酸値は予後予測のマーカーとなり得る
三戸 麻子
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科
キーワード:
妊娠高血圧症候群
,
妊娠高血圧腎症
,
尿酸
Keyword:
妊娠高血圧症候群
,
妊娠高血圧腎症
,
尿酸
pp.737-738
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_737
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妊娠時に高血圧を認めた場合,妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)と定義される.HDPは高血圧を認める時期や,高血圧以外の臨床症状によって,妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)・妊娠高血圧(gestational hypertension:GH)・加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia:SPE)・高血圧合併妊娠(chronic hypertension:CH)と病型分類される.HDPはどの病型でも高血圧緊急症,子癇や脳血管障害,帝王切開率の増加,常位胎盤早期剝離,早産・低出生体重児出生,胎児死亡,児のNICU入室などのリスクが高く,母児両方にとってハイリスク妊娠である1).このうちPEは妊娠20週以降に高血圧を認め,尿蛋白をはじめとして,肝酵素上昇や胎児発育遅延などの(臓器)合併症を認める病態である.尿酸値の上昇は,PEでよく観察される検査所見の一つであり,本稿では妊娠高血圧腎症と尿酸値に関する知見を概説する.
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