特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第10章:内分泌
先端巨大症を疑ったらGHでなくIGF-Ⅰでスクリーニングを行う
蟹江 慶太郎
1
,
福岡 秀規
1
1神戸大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科
キーワード:
先端巨大症
,
成長ホルモン(GH)
,
インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)
Keyword:
先端巨大症
,
成長ホルモン(GH)
,
インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)
pp.698-700
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_698
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先端巨大症は成長ホルモン(growth hormone:GH)の自律的な過剰分泌と,その結果過剰産生されるインスリン様成長因子-Ⅰ(insulin-like growth factor-Ⅰ:IGF-Ⅰ)によって生じる全身性代謝性疾患である.IGF-Ⅰは従来ソマトメジンCとよばれていたポリペプチドで,血中IGF-Ⅰは主に肝臓由来であるが,末梢組織でも合成され,そのオートクライン,パラクライン作用を通してGHの細胞増殖作用,成長促進作用などを仲介する.慢性的なGHおよびIGF-Ⅰ過剰への曝露によって舌,鼻翼,心臓,声帯,関節周囲,あるいは軟骨などの軟部組織腫脹が生じて,特有の顔貌,四肢末端の肥大,心血管障害,呼吸器障害,あるいは疼痛を伴う変形性関節症を引き起こす.耐糖能異常などの代謝異常も高頻度に認められ,これら全身性合併症のために,先端巨大症患者ではQOLの著しい低下および生命予後悪化が認められる1).また結腸がん,甲状腺がんなどいくつかのがん種において,先端巨大症による発症リスクや死亡率の増加が示唆されている.
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