特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第4章:膠原病
抗核抗体やリウマトイド因子陽性は,必ずしもリウマチ膠原病の存在を示唆しない
堀越 正信
1
1さいたま赤十字病院膠原病・リウマチ内科
キーワード:
抗核抗体
,
自己抗体
,
染色パターン
Keyword:
抗核抗体
,
自己抗体
,
染色パターン
pp.464-466
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_464
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「リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)が陽性だからといって,リウマチとは限らない」ということは,筆者の感覚では比較的認知されているように思う.一方で,抗核抗体については「陽性=膠原病の疑い」と思われている印象がある.しかし,実はRFよりも抗核抗体のほうが健常者における陽性率は高く(40倍,80倍の場合),病的意義に乏しい陽性が検出されて混乱の基となることが多い.抗核抗体やRFに限らず,あらゆる自己抗体はその抗体が検出される疾患を臨床的に疑う,つまり,ある程度の事前確率が見込まれる場合に提出されるのが大前提である.しかしながら「自己抗体検査の乱れ打ち」が行われた結果,検出された自己抗体陽性が一大事であるかのように一人歩きしてしまう状況をよく見かける.本稿では,頻繁に提出される検査でありながら「適切に」使われていることが少ないように感じられる抗核抗体とRFについて,前者を中心に概説したい.
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