特集 内科疾患の診断基準・病型分類・重症度
第10章 代謝・内分泌
下垂体後葉機能異常症(尿崩症・SIADH)
橋本 真紀子
1
,
田辺 晶代
1
1国立国際医療研究センター病院糖尿病内分泌代謝科
pp.966-969
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_966
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抗利尿ホルモンであるバソプレシン(arginine vasopressin:AVP,antidiuretic hormone:ADHとも称する)は,視床下部の視索上核および室傍核の大細胞で主に合成され,軸索輸送を介して下垂体後葉に運ばれた後,血液中へ分泌される.AVPの分泌は主に第三脳室前壁の浸透圧受容体,心房の容量受容体,頸動脈や大動脈弓の圧受容体により刺激される.血漿浸透圧が約280mOsm/kg(血清ナトリウム 136~141mEq/L)を超えると,血漿AVP濃度は急激に上昇する1).腎臓のV2受容体を介して自由水の再吸収を促進し,血清ナトリウム濃度を調整するため血清ナトリウム値はほぼ一定に保たれている.
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