特集 内科疾患の診断基準・病型分類・重症度
第10章 代謝・内分泌
甲状腺機能低下症
中島 康代
1
,
山田 正信
1
1群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学
pp.971-975
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_971
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診断基準
甲状腺機能低下症は,「全身の組織において甲状腺ホルモンの作用が低下した状態」と定義される病態であり,日常臨床で最も多く経験する内分泌疾患の一つである.血中の甲状腺ホルモンは,主に視床下部−下垂体−甲状腺系により制御されているが,この系のいずれの障害によっても甲状腺機能低下症は起こり得る.最も多い原因は,甲状腺の障害が原因となる原発性甲状腺機能低下症であり,血中の甲状腺ホルモン値(血中FT3,FT4値)の低下と下垂体からの甲状腺ホルモン刺激ホルモン(血中TSH値)の上昇で診断される.まれではあるが,下垂体TSHあるいは視床下部TRHの分泌低下による中枢性甲状腺機能低下症がある.
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