特集 頭痛・めまい・しびれ・疼痛―慢性化のメカニズムと治療
しびれ・疼痛
《しびれ・疼痛の一般的病態と慢性化のメカニズム》
大脳の変化
若泉 謙太
1,2,3
1慶應義塾大学部医学部麻酔学教室
2慶應義塾大学病院痛み診療センター
3ノースウェスタン大学医学部
キーワード:
nociplastic pain
,
中枢感作
,
ペイン・マトリックス
,
デフォルト・モード・ネットワーク
,
脳内報酬系
Keyword:
nociplastic pain
,
中枢感作
,
ペイン・マトリックス
,
デフォルト・モード・ネットワーク
,
脳内報酬系
pp.1287-1292
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_1287
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Summary
▪国際疾病分類に慢性痛の項目が新設され,原因の特定できない慢性痛に対して「一次性慢性痛」という診断ができるようになった.
▪中枢感作の病態を示唆する “nociplastic pain” という用語もつくられた.このような動きの背景には,脳神経の可塑的な変化が痛みの慢性化や重症化に関与することを示す研究成果がある.
▪脳画像研究の発展に伴って慢性痛患者ではペイン・マトリックスやデフォルト・モード・ネットワークとよばれる脳部位や神経ネットワークにさまざまな変化が起こっていることがわかってきた.
▪脳内報酬系ネットワークは痛みの慢性化の素因となっている可能性が指摘されている.
▪慢性痛に対しては,このような大脳の変化を念頭に置いた治療的介入が必要であると考えられる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021