特集 高齢者における循環器診療
座談会
高齢者における循環器診療のこれから
波多野 将
1
,
奥村 恭男
2
,
大野 洋平
3
,
村井 綱児
4
1東京大学大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座
2日本大学医学部内科学分野循環器内科学
3東海大学医学部付属病院循環器内科
4むらい内科・循環器クリニック
pp.971-979
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_971
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波多野 本日の座談会は「高齢者における循環器診療のこれから」というテーマで,循環器の各分野におけるエキスパートの先生方にお集まりいただきました.日本は総人口が減少している一方で,後期高齢者が増え続けています.循環器疾患は75歳以上の後期高齢者の患者数が最も多いことからも,超高齢社会の影響を強く受けているといえます.現在,国民総医療費の20%を循環器疾患に関わる医療費が占めていますが,これは悪性新生物の約1.5倍にもあたる額です.このような背景のなかで,高齢者における循環器診療はますます重要なものとなると考えられます.
高齢化の進行に伴って疾患構造が変化している一方で,昔であれば「高齢の患者さんには侵襲性が高いため治療方法がない」とされていた状況であっても,現在は医療の進歩によって治療の幅が広がってきています.本日は,不整脈がご専門の奥村恭男先生,弁膜症がご専門の大野洋平先生,心不全がご専門の村井綱児先生からそれぞれの分野における高齢化に伴う疾患構造の変化や,最新の治療方法,高齢者に対する循環器診療のゴール設定についてお話を伺いたいと思います.
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