特集 いま知っておきたい! 内科最新トピックス
第7章 消化管
ピロリ菌陰性時代の胃がん診療
小刀 崇弘
1
,
伊藤 公訓
2
1広島大学病院内視鏡診療科
2広島大学病院総合内科・総合診療科
キーワード:
Helicobacter pylori未感染
,
印環細胞がん
,
除菌後発見胃がん
,
低異型度上皮
Keyword:
Helicobacter pylori未感染
,
印環細胞がん
,
除菌後発見胃がん
,
低異型度上皮
pp.544-548
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_544
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Summary
・胃がんの主たる原因は,Helicobacter pylori感染である.
・H. pylori未感染の胃粘膜に発生するがんは全胃がんの1%前後と報告されているが,H. pylori感染率の低下に伴い,今後H. pylori未感染胃に生じる胃がんは相対的に増加することが予想される.
・近年H. pylori感染胃炎が保険診療適用疾患となり,除菌治療が急速に増加している.その結果,除菌後に発見される胃がんに遭遇する機会も増加しており,広義のH. pylori陰性の胃がん(未感染,除菌後)を診療することが日常化している.
・H. pylori未感染胃がんは組織学的には印環細胞がんが特徴的であり,その内視鏡的特徴は腺境界付近に認められる限局した平坦ないし陥凹した褪色粘膜である.
・除菌後に発見される胃がんのなかでも分化型がんの典型像は,発赤した表面陥凹型の病変である.組織学的に腫瘍表層に低異型度な円柱上皮が被覆し,内視鏡診断のみならず生検による組織診断も困難にしている可能性がある.
・今後は,H. pylori陰性胃がん(未感染,除菌後)の臨床的特性をよく理解して内視鏡診療に臨む必要性がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2020