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特集 胃癌内視鏡診断の最新ムーブメント―H. pylori陰性胃癌のすべて
[各論 H. pylori未感染胃癌]
進行胃癌
Advanced gastric cancer rising from H. pylori-uninfected mucosa
藤崎 順子
1
,
十倉 淳紀
1
,
並河 健
1
,
河内 洋
2,3
Junko Fujisaki
1
,
Junki Tokura
1
,
Ken Namikawa
1
,
Hiroshi Kawachi
2,3
1がん研究会有明病院消化器内科
2がん研究会研究所病理部
3がん研究会有明病院臨床病理センター病理部
キーワード:
進行胃癌
,
Helicobacter pylori未感染
Keyword:
進行胃癌
,
Helicobacter pylori未感染
pp.259-265
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000053
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はじめに
Helicobacter pylori(HP)未感染胃癌は頻度が著しく低く,胃癌全体の0.12~5%程度とも報告されている1~5)。日本消化器内視鏡学会が主導で行っているJED(Japan Endoscopy Database)が開始されてからpylori statusの問診評価が徹底され,特に除菌歴の有無は問診で明らかとなってきた。JEDが全国で普及する以前は進行胃癌における問診は不十分であり,pylori statusの実態は不明であった。未感染胃癌の定義も現時点では統一されたものはないが,感染診断で陰性(2項目以上と定義している論文もある),内視鏡的萎縮なし,組織学的炎症所見なしと定義しているものが多い2, 3)。早期胃癌では背景粘膜の内視鏡所見,regular arrangement of collecting venule(RAC)6)の有無がわかりやすく,未感染の有力な情報となるが,進行胃癌では背景粘膜の所見がとりにくく,また術前化学療法が施行されている場合は術後病理組織診断でも判明しにくい。HP未感染早期胃癌の報告は多く,印環細胞癌,胃底腺型胃癌,前庭部の腸型/胃腸混合型分化型腺癌,ラズベリー様腺窩上皮型胃癌の報告がある7~11)。しかし本稿で検討した未感染進行胃癌とリンクする症例は少なく,どのような未感染早期胃癌が進行胃癌になるのかは症例集積が少なく不明である。
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