特集 いま知っておきたい! 内科最新トピックス
第5章 感染症
薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬をupdateしよう
西村 翔
1
1神戸大学医学部附属病院感染症内科
キーワード:
薬剤耐性菌
,
AMR
,
カルバペネム耐性緑膿菌
,
MRSA
,
キノロン
,
結核
Keyword:
薬剤耐性菌
,
AMR
,
カルバペネム耐性緑膿菌
,
MRSA
,
キノロン
,
結核
pp.506-509
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_506
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Summary
・近年,新規抗菌薬の開発は滞っており,ここ5年間に日本で認可された抗菌薬・抗真菌薬は5剤のみで,そのなかで,薬剤耐性菌に対して期待される薬剤は,ceftolozane/tazobactam(TOL/TAZ),tedizolid,lascufloxacinの3剤である.
・TOL/TAZは,カルバペネマーゼ以外の機序によるカルバペネム耐性緑膿菌感染症治療の切り札となる可能性のある抗菌薬であり,カルバペネムを温存するためにESBL産生腸内細菌感染症に対して積極的に利用するのは避けるべきである.
・tedizolidは,linezolidの骨髄抑制や消化器症状といった副作用の頻度の軽減が期待される薬剤であるが,長期使用に伴う安全性は確立していない.
・lascufloxacinは,既存のニューキノロン系薬と比較して,グラム陽性球菌において耐性菌の選択頻度が低いことが利点とされるが,気道感染症に関する限りこの利点の臨床的意義は乏しい.
・薬剤耐性対策,および副作用プロファイルがまだ十分に明らかになっていないという観点から,新規の抗菌薬は適応を慎重に判断し,限られた場面でのみ使用すべきである.
© Nankodo Co., Ltd., 2020