特集 抗菌点眼薬の正しい使い方
5 ステロイド点眼薬使用時の抗菌薬の意義
北澤 耕司
1
1京都府立医科大学眼科学教室
キーワード:
ステロイド点眼薬
,
抗菌点眼薬
,
薬剤耐性菌
,
MRSA
Keyword:
ステロイド点眼薬
,
抗菌点眼薬
,
薬剤耐性菌
,
MRSA
pp.415-419
発行日 2025年5月5日
Published Date 2025/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004146
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眼科診療において,ステロイド点眼薬はさまざまな眼疾患の治療に広く使用されている。アレルギー性結膜炎,ぶどう膜炎などの非感染性炎症疾患や角膜移植後眼などに対して,その強力な抗炎症作用から重要な治療選択肢となっている。従来,ステロイド点眼薬使用時には感染リスクの増加を懸念して抗菌点眼薬を併用するという臨床慣行が広く行われてきた。しかし,近年の抗菌薬使用に関する臨床研究や系統的レビューによって,この併用療法の必要性に疑問が投げかけられている。抗菌薬の漫然とした使用は,薬剤耐性菌の世界的な増加につながっているため,2015年5月の世界保健総会では,薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)に関するグローバル・アクションプランが採択され,加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することを求められた。日本でも2016年にアクションプランが決定され,2027年までに人口千人あたりの一日抗菌薬使用量を2020年比で15%削減することや,黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を20%以下にするなどの具体的な数値目標が掲げられている。本稿では,ステロイド点眼薬使用時の抗菌薬の意義について解説する。

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