特集 腎臓と他臓器連関を考える―CKDにおける包括的治療戦略を目指して
臓器連関の実態
CKDと感染症
内田 貴大
1
,
尾田 高志
1
1東京医科大学八王子医療センター腎臓病センター腎臓内科・血液浄化療法室
キーワード:
溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)
,
慢性腎臓病(CKD)
,
感染関連糸球体腎炎(IRGN)
,
nephritis-associated plasmin receptor(NAPlr)
,
プラスミン
Keyword:
溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)
,
慢性腎臓病(CKD)
,
感染関連糸球体腎炎(IRGN)
,
nephritis-associated plasmin receptor(NAPlr)
,
プラスミン
pp.237-241
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_237
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Summary
▪感染症に伴う糸球体腎炎の疫学に近年大きな変化がみられ,小児例によくみられる溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)が減少する一方,高齢者の感染症に伴う糸球体腎炎が増加してきた.
▪高齢者の感染症に伴う糸球体腎炎は,発症時に感染症が終息せず進行中であることが多く,感染関連糸球体腎炎(IRGN)と総称され,多彩な病原体の関与が報告されている.高血圧・糖尿病などの基礎疾患や,それらに関連した慢性腎臓病(CKD)を併発していることが多く,またCKDへの移行例も少なくないことから,その腎予後は良好ではない.
▪PSAGNのみならず各種細菌性IRGNにおいて,溶連菌由来の腎炎惹起性因子であるnephritis-associated plasmin receptor(NAPlr)およびプラスミン活性は糸球体内で陽性になることから,細菌性IRGN全般の診断マーカーとしての有用性が注目される.
▪IgA腎症は進行するとCKD・腎不全へといたる代表的な原因疾患であるが,上気道感染直後に自然免疫系の活性化を介した腎症の増悪を認めることが知られる.epipharynx-kidney axisともいうべきネットワークの存在が示唆される.一方でCKDにおける易感染性には,自然免疫系の機能低下が関与していると思われる.
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