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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
甲状腺
慢性甲状腺炎と潜在性甲状腺機能低下症
-――妊娠関連含む
Chronic thyroiditis and subclinical hypothyroidism
――Including subclinical hypothyroidism during pregnancy
吉原 愛
1
Ai YOSHIHARA
1
1伊藤病院内科
キーワード:
慢性甲状腺炎
,
甲状腺機能低下症
,
潜在性甲状腺機能低下症(SCH)
,
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
,
甲状腺自己抗体
Keyword:
慢性甲状腺炎
,
甲状腺機能低下症
,
潜在性甲状腺機能低下症(SCH)
,
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
,
甲状腺自己抗体
pp.682-686
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090682
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甲状腺機能低下症の原因で最も多いのは,橋本病(慢性甲状腺炎)である.橋本病は遺伝要因と環境要因が複数影響しあうことにより起こる甲状腺に特異的な自己免疫疾患であり,原因は複雑で不明な点が多い.甲状腺機能低下症の治療はT4製剤内服で行う.T4製剤でも症状改善のない症例にはT3併用療法が検討されているが,より多くのエビデンスと予後の追跡調査が必要である.妊娠初期の潜在性甲状腺機能低下症(SCH)と流産・早産との関連が指摘されてきた.T4製剤の補充療法の効果についてランダム化比較試験をメタ解析したところ,T4製剤による介入時期が遅く流産率の改善は不明であるが,早産については甲状腺刺激ホルモン(TSH)>4μIU/mLで補充療法による改善傾向が認められた.流産や死産を繰り返すTSH>2.5μIU/mLの妊婦においても,補充療法により生産率や妊娠喪失率が改善する可能性が示唆された.
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