特集 肝臓病学の未来―ウイルス性肝炎から脂肪肝と肝がんの時代へ
肝がん
遺伝子検査から肝発がんリスクを診断する
-肝細胞がんに関連したゲノム異常(蓄積された知見と今後のリキッドバイオプシーへの展望)
村岡 優
1
,
前川 伸哉
1
,
榎本 信幸
1
1山梨大学第一内科
キーワード:
HCC
,
SNP
,
リキッドバイオプシー
,
TERT promoter変異
Keyword:
HCC
,
SNP
,
リキッドバイオプシー
,
TERT promoter変異
pp.1159-1162
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_1159
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Summary
▪HCCを発症する背景には慢性的な炎症が存在し,酸化ストレスにより生じた活性酸素種(ROS)はゲノム異常を促進する因子となる.
▪発がんに関わる宿主側の異常として一塩基多型(SNP)があり,B型肝炎ではKIF1B,STAT4,C型肝炎ではMICA遺伝子にSNPが同定されている.
▪HCCの体細胞変異は複数のシグナルパスウェイに関与する遺伝子にみられ,代表的なものにTERT異常,Wnt/βカテニン経路,P53細胞周期経路,クロマチン調節因子がある.
▪B型肝炎ウイルスは,主にHBx遺伝子のTERT promoter変異を中心とした宿主DNAへの組み込みがみられる.
▪血液中には循環腫瘍DNA(ctDNA)が存在し,digital PCRを用いたゲノム異常の定量的評価が可能となり,治療効果モニタリングへの応用が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2019