特集 もっとうまくいく! 病診連携の「伝え方」―わかりやすく伝えるための診療情報提供書作成のコツ
第Ⅱ章 <診療科別>コンサルトのポイント
F.腎臓内科へコンサルト
4.急性腎障害
藤垣 嘉秀
1
1帝京大学医学部内科学講座
pp.593-595
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_593
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本症例は,当院に紹介受診時の検査で高Ca血症(補正Ca 12.1mg/dL)を認め急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の原因の一つと考えられた.高Ca血症は活性型ビタミンD3製剤であるエルデカルシトール内服中に下痢を契機として脱水をきたしたためGFRの低下が起き,このため高Ca血症となり,高Ca血症によりさらにGFR低下を招く悪循環となったと考えられる.詳細には高Ca血症は,腎濃縮力の低下(腎性尿崩症)を惹起し多尿となり,さらに脱水を進行させ,腎血管の収縮も引き起こしGFR低下に関与する.また,脱水は代謝性アルカローシスを惹起し,ヘンレループ・遠位尿細管からCaの再吸収増加が起き,高Ca血症増悪の悪循環が形成される.この間にレニン・アンジオテンシン系阻害薬であるテルミサルタンと骨粗鬆症の腰痛に対し非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)であるロキソプロフェンナトリウム水和物を使用しており,いずれも糸球体内圧を低下させGFR低下を助長した可能性がある1).
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