特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅶ章 高齢者の慢性疾患管理法
8.慢性閉塞性肺疾患
千田 一嘉
1
Kazuyoshi SENDA
1
1国立長寿医療研究センター臨床研究企画室
pp.862-866
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_862
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙による慢性全身性炎症性疾患(chronic systemic inflammatory syndrome)で,その障害は呼吸器だけでなく,心・血管疾患,メタボリック症候群,抑うつなど幅広い全身併存症をきたす.
▪COPDに伴うサルコペニアが緩徐に全身性に進行する過程は老年症候群の表現型の一つとされ,多職種協働で介入法を検討する高齢者総合的機能評価(CGA)が必須である.
▪COPDの予後予測や包括的呼吸リハビリテーション(呼リハ)の評価軸としてフレイルが有望である.
▪COPDは危険因子群に対する予防医学的なアプローチから,人生の最終段階(EOL)における症状緩和まで,CGAに基づいて段階的に最適化された継続的かつ一貫した「統合ケア(integrated care)」で管理する.
▪COPDの統合ケアは患者の自己効力感を強化し,長期間健康を維持・増進する行動変容に導くセルフマネジメントが基礎で,全身性炎症を制御する栄養・薬物療法と下肢筋力を改善する運動療法からなる呼リハが中心である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018