特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅱ章 高齢者と老年症候群
5.便 秘
須藤 紀子
1
Noriko SUDO
1
1杏林大学高齢医学
pp.639-644
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_639
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Summary
▪便秘の頻度は加齢に伴い増加する.加齢に伴う生理的変化や食習慣・生活習慣・環境の変化,合併症の存在,その治療薬,そして社会的精神的要因も高齢者の便秘増加の原因となる.
▪高齢者の便秘のほとんどは機能性便秘であるが,血便などの警告徴候のある便秘では器質的疾患の存在を疑い,精査をする必要がある.高齢者では担がん患者も多く,大腸がんなどを見逃してはならない.
▪便秘の治療の基本は食事,運動,生活習慣の改善を行い,それでも改善のない場合薬物療法を行う.薬物療法では習慣性のない緩下剤をベースに刺激性下剤を頓用で使用する.
▪lubiprostoneの発売後,新たな機序の便秘薬が次々と発売されている.患者一人一人の便秘の病態に応じて便秘薬を選択していく工夫が求められている.
© Nankodo Co., Ltd., 2018