発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906803
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“便をよくする”ことぶ育兒の秘訣ででもあるかのように誤解している親が少くない。又醫師の間でも健康母乳兒の糞便は回數が1日1〜2回,黄色で,硬さは軟膏のようである,という一般小兒科教科書の記載をうのみにしている人が多い。いわゆる小兒の惡い便の診斷治療については今後若干反省して見る必要があるのであり,消化不良症を中心にして看護婦の心得るべきことを考えておく必要がある。
母乳兒の“便が多く且つ惡くて困つている”というような主訴の場合,一般症状を無視して,直ちにこれを消化不良症と診斷し,且つ治療してよい便にしてやろうというのは診斷治療上の過ちである。單に惡い便だけで何ら全身症状がなく,發育佳良又は普通で,熱もなく,食慾も良好,その上,身體他部にも異常のない時には,乳量を制限したり,母乳を牛乳に變えたりしない方が良い。それよりも,このチヤソスを利用して,母親の育兒法を指導することが大切である。授乳回數や授乳時の間隔が甚だしく不規則になつていないか,母親の食餌はどうかと,これら適切な指導を母親に與えることがまず必要である。
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