特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅱ章 高齢者と老年症候群
3.尿失禁
竹屋 泰
1
Yasushi TAKEYA
1
1大阪大学 老年・総合内科
pp.629-633
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_629
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪尿失禁は高齢者の排尿障害のなかで頻度が高くQOLを大きく損なう症候であるが,患者が医療者に伝えにくい場合があり,日ごろから注意を払い見逃さないようにする.
▪病態は多岐にわたり複合的であることが多いため,老年症候群の一つとして多職種での対応が求められる.
▪とくに問題となる疾患および病態として,①前立腺肥大症,②過活動膀胱,③腹圧性尿失禁,④機能性尿失禁などがある.
▪行動療法や生活習慣の改善などの非薬物療法の有効性が高く,薬物療法に優先して行う.
▪難治性の場合には,悪性腫瘍や間質性膀胱炎など,専門治療が必要な疾患の存在や手術療法なども念頭に置き,泌尿器科医に紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018