特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅰ章 高齢者の特性を理解する~生理機能の加齢変化~
2.精神・神経機能
櫻井 博文
1
,
羽生 春夫
1
Hirofumi SAKURAI
1
,
Haruo HANYU
1
1東京医科大学高齢総合医学分野
pp.578-581
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_578
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Summary
▪流動性知能は,新しいものを学習したり覚えたりする,問題解決や情報処理など新しい場面や環境変化に対応する能力で,高齢者で低下しやすい.結晶性知能は,語彙,一般常識,判断力などが含まれ,学校教育や社会経験で育まれるため,経験が増すことにより高齢者でむしろ上昇する.
▪高齢者では記憶の把持や再生に障害がみられ,エピソード記憶や近時記憶が障害されやすくなる
▪高齢者では加齢に伴う神経機能低下を背景に,病的変化が加わってAlzheimer病などの認知症が増加する.血管系の加齢変化に生活習慣病などによりもたらされた動脈硬化や心房細動などが,脳血管障害を増加させる.
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