講座
産業医学における神経および心理・行動機能評価〔2〕—末梢神経機能(2)—軸索輸送
横山 和仁
1
,
荒記 俊一
2
Kazuhito YOKOYAMA
1
,
Shunichi ARAKI
2
1大分医科大学公衆・衛生医学
2東京大学医学部公衆衛生学
pp.337-342
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207687
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■はじめに
神経細胞の軸索内では,ミトコンドリア,微小管,ニューロフィラメント,アクチン,小胞体,神経伝達物質およびその関連酵素などが輸送されている(図1).この輸送を軸索輸送(Axonaltransport)***と呼ぶ.軸索輸送には,細胞体から軸索終末に向かう順行性の遅い輸送,中間速の輸送および速い輸送と,逆に向かう逆行性輸送がある(表1).遅い軸索輸送成分をさらに相対的に遅いSlow component a(主として微小管およびニューロフィラメントの構成蛋白)とより速いSlowcomponent b(アクチンおよび種々の微量蛋白)とに分類することもある.
軸索の構成物質は軸索内で合成されず,細胞体から順行性輸送により供給されるので,この輸送を阻害する因子は軸索を障害する可能性がある.
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