胸部外科医の散歩道
焼け火箸による膿胸腔の穿刺
坪田 紀明
1
1北播磨総合医療センター呼吸器グループ
pp.67
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_67
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1982年(昭和57年)のある日の外来に60歳の女性患者がやってきた.彼女は3歳の時に肺炎に罹り膿胸に陥ったが,その際,焼け火箸による胸腔穿刺,排膿術を受けたという.計算すれば穿刺を受けた年は1925年であり,今から実に96年前,昭和の時代が始まったばかりの頃である.その頃にこの患者の住んでいた淡路島には,このような処置を行える医師がいたことになる.そして爾来57年間,患者は右胸のネラトン交換を受けながら日常生活を送っていた.
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