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どんな薬?1-4)
アザシチジンは2011年に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)に対して承認・発売されました.その後,65歳以上の造血幹細胞移植不適応の未治療急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML)に対する臨床試験の結果,生存期間の延長が確認されたことで,2015年にAMLが追加承認となりました.
日本では,MDSは年間約10,000人が罹患する疾患で,高齢者に多く,加齢がリスクと考えられています.MDSは,未熟な骨髄系幹細胞のDNAに生じた異常によって,異常な形態の血液細胞を多く作り出すため,正常な赤血球,白血球,血小板などが減少します.MDS患者の半数以上に染色体異常があり,ほぼ全例にゲノムの変異が同定されているといわれています.MDSは単一あるいは複数系統の血球減少,血球の形態学的異形成,骨髄における無効造血(成熟途中で血液細胞が壊れる),急性白血病転化(急性骨髄性白血病への移行)を特徴としており,芽球(造血過程が進んでいない未熟な細胞)が骨髄中で造血細胞の20%未満の場合をいいます.MDSは国際予後判定システム(international prognostic scoring system:IPSS)を使用して,予後因子である骨髄中の芽球の割合,ヘモグロビン値,血小板数,好中球を点数化して分類します(表1).この分類は,予後予測および治療選択の指標となります.
MDSの治療は,リスク分類,患者の年齢・全身状態,本人の希望などを総合的に判断して,支持療法,がん薬物療法,造血幹細胞移植から選択します.MDSによる症状緩和を目的に不足している血球を補給する支持療法が広く行われています.白血球減少に伴う感染症予防として顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor:G-CSF)や抗菌薬の投与を行い,血小板減少に対しては5,000/μL以下を目安に血小板輸血を行います.そして赤血球減少に伴う貧血に対しては,Hb 7g/dL以下を目安に赤血球輸血を行うことに加えて,新たな支持療法として持続型赤血球造血刺激因子製剤であるダルベポエチンアルファ皮下注射が使用できるようになり,患者の生活の質(QOL)が上昇しています.アザシチジンによる治療は低リスクで臨床症状がある場合と高リスクで同種造血幹細胞移植ができない患者に対して行います.現時点で,MDSの治癒が期待できる治療法は同種造血幹細胞移植だけですが,アザシチジンによっても白血病移行期間の延長や生存期間の延長が報告されています.造血幹細胞移植ができない患者にとっては,皮下注射のアザシチジンの登場は治療継続を望める治療として期待されています.

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