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がん疼痛は,がん患者の診断時に20~50%,進行がん患者全体では70~80%に存在するといわれ,がん看護に携わる看護師は,日頃からがん疼痛を経験している多くの患者の傍にいると考えられます.そのため,がん看護に携わる看護師には,がん治療だけでなく,がん疼痛に関する最新の知識やエビデンスを理解し,患者の痛みに対するマネジメントの力が求められています.
がん疼痛に関する薬物療法の動向として,2017年にヒドロモルフォンの内服薬,2018年には同注射薬が上市され,モルヒネやオキシコドンなどと同等の鎮痛効果があり,腎機能障害のある患者にも比較的安全に投与できることから,患者に使用できるオピオイド鎮痛薬の選択肢の一つとなりました.また,持続性疼痛治療薬ジクロフェナクナトリウムの経皮吸収型製剤が上市され,経口や経静脈での薬剤投与が困難である患者においても非ステロイド性抗炎症薬が使用しやすくなり,痛みの緩和につながることで患者のQOLの向上が期待されています.このように,がん疼痛における薬物療法は,新規薬剤の導入と新たなエビデンスの公表が続いており,改訂された最新のガイドライン『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』が日本緩和医療学会より刊行されています.
がん疼痛緩和の基本方針では,医療者が痛みについて患者本人に尋ね,痛みの状況について把握するとともに,患者の心理状態も理解することが重要です.薬物療法のみならず,そのほかの治療法やケアも多職種を交えて検討し,開始された治療の効果や副作用を継続的に評価することが基本といわれています.
本特集では,臨床現場で働く看護師の痛みのマネジメント力の向上を目指し,痛みのメカニズムを解説し,オピオイドや非オピオイド鎮痛薬,鎮痛補助薬の作用機序やそれぞれの薬剤の特徴と注意点・副作用について理解を深めるための基礎知識や実践のポイントを詳しく解説しました.また,具体的な事例を通して痛みのアセスメントやケアについて取り上げています.さらに,骨転移によるがん疼痛への放射線療法と看護,侵襲を伴う治療法として神経ブロックや脊髄鎮痛法,オピオイドにまつわる依存や耐性,ケミカルコーピングなども取り上げています.
所属している施設にかかわらず,本特集ががん診療に携わるすべての看護実践者の痛みのマネジメント力を高め,ケアを実践する場で役立つことを心より願っています.

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