今月の症例
化学療法の継続を望みつつ支持療法に拒否を示す患者に対する倫理的アプローチ
西脇 可織
1
1小牧市民病院/がん看護専門看護師
pp.109-114
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango31_109
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はじめに
日々の臨床で,しばしば「対応のむずかしい患者」に出会うことがある.これはがん患者においても例外ではない.その対応のむずかしさは,がんに伴う精神心理的苦痛なのか,患者のもつ特性なのかなど,かかわりのなかでアセスメントしていくこととなる.
精神症状ががん治療中の患者に及ぼす影響は,精神症状そのものによる苦痛,生活の質(quality of life:QOL)の低下,意思決定障害,入院期間延長,自殺率の上昇などが挙げられており1),患者の心の反応に適切に対応することは,がんの治療継続において重要である.しかし実際には,患者からの怒りや否認に戸惑ってしまい対応がうまくいかない場合や,精神科医やリエゾン精神看護専門看護師といった相談相手が身近にいない場合も少なくない.
本稿では,がん治療を希望しながらも支持療法を強く拒否し,安全ながん治療の継続に倫理的問題が生じた事例を挙げ,治療・ケアの検討プロセスを振り返る.

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