学生の眼
学生を拒否する患者へのアプローチ—看護技術を媒介として
飯田 裕子
1
1神奈川県立看護教育大学校看護教育学科
pp.1029-1035
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922815
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はじめに
入院生活をおくる患者にとって学生は,よき理解者となったり,闘病意欲をかきたてる,あるいは精神の慰安を与える存在となる場合がある.しかし数多い患者の中には,学生に対し,うとましい,迷惑であるという感情を抱く人がいることも事実であろう.私は過去6年間,主に外科系の臨床看護婦として勤務し患者と接してきたが,今回,一学生として患者に接する機会を得た.しかし実習開始にあたり,受け持ち患者から‘どうして今ごろ受け持たれるのか.必要ないよ’という拒否の言葉が聞かれた.臨床においては,患者が看護婦を拒否した場合,原因を探ったり,アプローチの方法を変えたり,しばらく接触せずに冷却期間を持ったりなど様々な対応を考えていく.これが学生の実習の対象としては,看護上のニーズもさることながら,人間関係学習のためにあえて受け持つ方法と,受け持ち患者の対象外とする方法があるが,私は前者を選んだ.
患者は直腸癌のため,人工肛門を造設したが,突然その身に引き受けざるを得なかった事実に対して,一時,半身しびれ,動悸などで反応していた.接近に困難なケースであったが,学生に対しての拒否から受容に至るまでのプロセスを紹介し,人工肛門を受け入れていく過程の一時期を,患者—看護婦関係を中心に考察を加えてみたい.
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