特集 エビデンスに基づく看取り期のケア
看取り期の症状マネジメント:せん妄
伊藤 里美
1
Satomi ITO
1
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
pp.363-366
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_363
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はじめに
せん妄とは,「身体的異常や薬物の使用を原因として急性に発症する意識障害(意識変容)を本態とし,失見当識などの認知機能障害や幻覚妄想,気分変動などのさまざまな精神症状を呈する病態」と定義される1).せん妄は,緩和ケア病棟入院時では42%,死亡直前には88%という高い頻度で認められる2).さらにせん妄は生命予後への影響3,4)や家族に強い精神的苦痛を与える5,6)だけでなく,その対応は医療者へ大きな負担がかかるなど,多岐にわたってデメリットが生じる.したがって,せん妄に対する適切な予防と治療を行うことが重要である.本稿では,がんの看取り期という特徴に着目して症状マネジメントに関する最新の知見を紹介する.

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