特集 エビデンスに基づく看取り期のケア
看取り期の症状マネジメント:全身倦怠感・身の置き所のなさ
細川 舞
1
Mai HOSOKAWA
1
1岩手県立大学看護学部/がん看護専門看護師
pp.350-353
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_350
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はじめに
がんに関連した倦怠感(cancer-related fatigue:CRF)とは,National Comprehensive Cancer Network(NCCN)では「がんに関連した倦怠感とは,がんまたはがん治療に関連した,身体的,感情的,および/または認知的な疲労または消耗の苦痛で持続的な主観的感覚であり,直近の活動量に比例せず,通常の機能に支障をきたすものである」と定義されている1).CRFは多くのがん患者が経験する症状で,その有病率は約50%と言われ,進行がんに限定すると60%以上にも及んでいる2).そして,倦怠感は少なくとも1つの日常生活動作に支障をきたす割合が50%以上とされており,歩行や仕事などへの支障も30%以上と言われている3).そのほかにも気分や睡眠への影響など,がん患者の生活にさまざまな影響を与える症状である.そして,終末期においては,死亡の4週間前から急激に症状が増強するとも言われている4).そのため終末期がん患者のquality of life(QOL)を低下させ,非常に苦痛の強い症状となる.本稿では,CRFを評価し症状緩和につなげるためのアセスメントとケアについて紹介する.

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