今月の症例
その人らしさを支えるホスピス住宅での暮らし ~人生の最終段階における医療・ケアの決定~
中嶋 恵
1
1ファミリー・ホスピス株式会社/緩和ケア認定看護師
pp.326-330
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_326
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はじめに
近年,ホスピス住宅事業は増加しているが,まだまだ不足している状況にある.病院での入院期間の短縮,少子高齢化や共働き世帯の増加により,住み慣れた自宅で最期まで過ごすことがむずかしいという状況にある.厚生労働省「令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書」1)では,人生の最終段階において,医療・ケアを受けたい場所に関する希望として,病気で治る見込みがなく,およそ1年以内に徐々にあるいは急に死にいたると考えたときに最期をどこで迎えたいか[一般国民(n=3,000)のみ]では,自宅43.8%,医療機関41.6%に対し,介護施設は10.0%という結果であった.医療機関で入院の継続はむずかしいが,自宅での介護は家族の負担もありむずかしいという状況も多い.そのため,病院のような医療行為を受けることができる安心感と日常生活援助の介護を受けることができ,自宅のように自由な時間を過ごす場としてホスピス住宅が増加してきた.
今回その人らしく生きることを支えた事例について報告する.

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