特集 がんチーム医療の壁を乗り越える! ~チーム医療の実践に必要なスキルセット~
【がんチーム医療に必要なスキルセットを学ぶ】
自己理解,他者理解
陶山 久司
1
Hisashi SUYAMA
1
1鳥取大学医学部附属病院腫瘍内科
pp.386-390
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_386
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自己理解,他者理解とは
がんチーム医療とリーダーシップ
がんチーム医療の重要な要素の1つにリーダーシップがある.リーダーシップは組織のトップ層だけに重要なものではなく1),すべてのがん医療者にとってリーダーシップ教育は有効である.さらにリーダーシップ教育の中では,自分と向き合い自己理解を深めることが重要で,私たちが一人の人間として成熟するために肝要である(図1).
自己理解
人の心の働きにはいくつもの基本パターンが存在する.ユング心理学の考え方に基づくと,人の心は自我,自己などから成り立っている2).自我が意識の中心であるのに対して,自己は意識と無意識を含む心の全体性の中心である3)(図2).自己理解を深めるということは,無意識を意識化することを意味する.自己理解を深めるために非専門家が利用可能なものとして,後述のMyers-Briggs Type Indicator® (MBTI®)*などが挙げられる.
自己理解と他者理解
他者理解では自身の経験などに基づいて他者を解釈することしかできないため,解釈者の視点が常に関与する4).したがって,解釈者の自己理解が深まることや,さまざまな経験を積むことを通じて視点を広げることで,解釈の制約は伴うものの,他者理解を深めることができる.さらに,他者理解が深まると他者受容も深まる.このように,自己理解を深めることを通じて他者理解・他者受容を深めることができ,チームメンバーに敬意をもって向き合うことが可能になる.
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