連載 臓器別がん 最新エビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【6】
肝がん ~肝細胞がん~
大場 大
1
Masaru OBA
1
1東京目白クリニック,順天堂大学医学部肝胆膵外科
pp.283-287
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_283
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治療の全体像と薬物療法
ステージ別標準治療
~肝予備能と腫瘍進展の両者を考慮~
ステージⅠ~ⅣA
肝予備能と腫瘍進展の両者を勘案しながら,適応に問題がなければ,手術,ラジオ波焼灼療法(RFA),肝動脈化学塞栓療法(TACE)などの根治的局所治療法の選択が優先される.非代償性肝硬変を伴い,腫瘍径5 cm以内かつ腫瘍数5個以内かつ腫瘍マーカー:αフェトプロテイン(AFP)500 ng/mL以下(5-5-500基準)の場合には肝移植も検討可能.手術,RFA,TACEの適応がない場合,分子標的薬治療(全身化学療法),肝動注化学療法や放射線療法(体幹部定位放射線治療・粒子線治療)などが状況に応じて選択される.
ステージⅣB(肝外転移あり)
分子標的薬治療,肝動注化学療法などほかのがん腫で検討されるステージ別の治療アルゴリズムとは若干異なり,①主にChild-Pugh分類を用いた肝機能(予備能)の状態,②肝臓外の転移有無,③脈管(門脈・肝静脈など)腫瘍栓の有無や程度,④腫瘍個数,⑤腫瘍径などを総合的に鑑みて,手術もしくはRFA, TACEなどの局所療法の適応にならない場合において緩和的治療目的,あるいは前述局所治療につなげることを目指した橋渡し役として化学療法が選択される(図1,表1).
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