連載 臓器別がん 最新エビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【7】
胆道がん
大場 大
1
Masaru OBA
1
1東京目白クリニック,順天堂大学医学部肝胆膵外科
pp.375-378
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_375
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治療の全体像と薬物療法
ステージ別標準治療(図1)
ステージⅠ~Ⅲ
ひと言で胆道がんとは言っても,ほかのがん腫とは異なり疾患のバリエーションが多い.具体的には,肝門部領域胆管がん,遠位胆管がん,胆囊がん,十二指腸乳頭部がん,そして肝内胆管がんである.これら,全部を一括して胆道がん疾患とみなされる.また,遠隔転移がない場合,切除が可能かどうかの判断に一定のコンセンサスが得られていないため,治療方針の標準化がむずかしい.さらに,胆汁の通り道である胆管という場から発生するがんであるため,胆管炎や黄疸に対する胆道ドレナージという術が迅速に行き届く医療環境が必要となる.それらをふまえたうえで,腫瘍因子として,高度な局所進展と領域リンパ節転移のないステージⅢまでの場合,切除可能であればまずは手術が推奨される.ただし,手術は高度技能が求められるため,専門医のいる手術症例の多い施設で行われるべきである.
手術後は術後化学療法が強く推奨される.
ステージⅣ
遠隔転移のある場合,あるいは局所進展が強い,高度な領域リンパ節転移を伴う場合には全身化学療法が選択される.胆管炎や黄疸がみられる症例には,先行して胆道ドレナージやステント留置が必須である.放射線療法,化学放射線療法の有用性は,現時点では根拠が不十分である.
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