増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅴ章 事例を通してACPを考える
ACP支援におけるチームアプローチ
佐藤 美紀
1
1北里大学病院看護部/がん看護専門看護師
pp.199-202
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_199
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事例
河さん(仮名),50歳代,女性.血液がん.
家族背景:1人暮らし,父と姉は他界しており,母が市内に住んでいる.姉の子どもたちとは連絡を取り合っている.
社会的背景:会社員(勤続20年以上).スポーツジムや裁縫教室に通うなど幅広い趣味があり,友好的な性格.困りごとは主に自分で考えて解決する.生計基盤は本人の収入.
経過・状況
経過
20XX年から貧血症状があり近医を受診した.貧血と血小板減少,X線画像検査で腰椎に異常が認められ,専門病院で精査した結果,血液がんと診断された.診断後すぐにがん薬物療法が開始となり,その後自家造血幹細胞移植を実施した.20XX+4年頃までは病状変化ごとにがん薬物療法のレジメンを変更し,貧血には定期的に輸血を行いながら経過した.医師はレジメン変更のたびに,先を予測して河さんに説明していたが,実際には治療効果が薄れたときに河さんの動揺が現れ,ACP支援が始まった.その後病勢が進行し20XX+6年に永眠された.
状況
主治医は診断時に衝撃を受けた河さんを心配したが,粛々と治療を受ける姿を見て安堵していた.看護師は河さんが短期入院を希望する背景には経済的不安と母親を心配させたくない気持ちがあると知り,副作用に対するセルフケア力が高まるよう指導・支援していた.
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