増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅴ章 事例を通してACPを考える
がん看護専門看護師が診断から看取りまで継続的にかかわりACPを支援した事例
望月 美穂
1
1北里大学病院看護部/がん看護専門看護師
pp.195-198
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_195
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
事例
森さん(仮名).60歳代,男性.下咽頭がん stage Ⅳc.多発リンパ節,遠隔転移あり.
数年前に両親を亡くし,独居.介護職.
経過・状況
数ヵ月前より咽頭痛が増強し,受診.根治が不可能な下咽頭がんであると診断され,主治医からのインフォームドコンセント(informed consent:IC)に,外来看護師が同席した.
IC内容 遠隔転移を伴う下咽頭がんであり,根治はむずかしい.治療としては,緩和的がん薬物療法を行うか,緩和ケアを中心に行うという選択肢がある.予後は治療をしても半年から1年と考える.気道が狭くなっており,早急に気管切開を行うかを決める必要がある.食事摂取はむずかしく,経管栄養で管理を行う.
IC後,森さんから質問はなく,医療者と目を合わせることはなかった.主治医と外来看護師は,支える家族がおらず,余命宣告とともに気管切開を受けるか否かの意思決定を短期間に迫られた過酷な状況を憂慮したことから,がん看護専門看護師(OCNS)(筆者)に介入の依頼があり,IC後すぐに面談の機会をもった.
© Nankodo Co., Ltd., 2023