特集 性科学の水準—第12回世界性科学学会の業績から
セクソロジーとはなにか
宮原 忍
1
1横浜市立大学看護短期大学部
pp.970-977
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901367
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はじめに
生物学的にいえば,性は高等な生物の生殖のためのしくみである。遺伝子の組み合わせに無限ともいえるバリエーションを生ずる有性生殖のメカニズムは,生物の進化に著しく貢献した。
しかし,霊長類においては,性は生殖以外の意味をも持つようになる。ほとんど挨拶がわりのピグミーチンパンジーの性交や,ニホンザルのオス同士のマウンティングなど,かなり慎重に解釈しても,性の儀礼化によって,個体の関係調節が行なわれているとしか考えようがない。
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