- 有料閲覧
- 文献概要
静岡県立静岡がんセンターは,2002年9月に開院したばかりの,日本で最も新しいがん専門病院です.新幹線三島駅から北へ車で約15分,富士山を背に駿河湾を一望する自然豊かな丘陵地に建設されました.11階建ての本棟とその前にせり出した3階建ての外来棟,本邦で6番目の施設となる陽子線治療棟,緩和医療別棟からなり,周囲を庭園で囲まれたガーデンホスピタルとして患者さんに癒しの空間を提供しています.開院時は315床を開棟し,2003年5月から403床で運用,その後順次病棟を開き,最終的に2005年度には615床全面開棟する予定です.
当センターの基本理念は“患者の視点の重視”であり,その実現のためにさまざまな工夫や取り組みを行っています.外来診察室はすべて個室で,また外来待合室で患者さんの名前を呼ばないようにするための呼び出し用PHSシステムを採用,病棟はその約5割が個室,残りは二人部屋となっており,患者さんのプライバシーを最大限に保護するよう設計されています.外来には乳癌・婦人科系癌専用の女性センターを設け,また病棟10階は女性専用病棟としています.開院時から全面的に電子カルテシステムを採用し,入院患者は各ベッドに一人一台あるベッドサイド端末によってさまざまな情報にアクセスすることができます.例えば病院案内を見たり特別食の注文をできるほか,暗証番号を入力すれば自分自身の血液検査結果や診療スケジュールも見ることができます.外来棟にはよろず相談を設け,専任の看護師,MSW,事務を配置し,院内・院外のがんにかかわるあらゆる相談を受け付けています.当センターではハード・ソフトにおけるこうした取り組みを通して,単に高度で先進的な医療を提供するだけでなく,癒しのアメニティーの提供,安全の重視,患者の権利やプライバシーの保護,情報公開などを進め,21世紀の新しいがんセンターとしてのあるべき姿を模索しています.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.