連載 amans惠道通信・8
スピリチュアルケア私論 3
飯島 惠道
1
1東昌寺
pp.648-649
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902076
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病室は燃え盛る家生老病死苦の全てがある
前号では妙法蓮華経中の「火宅の喩」を用いて,Kさんのケースを紐解いてみたが,ここでもう一度「火宅の喩」を紹介しようと思う。
「煩悩や苦しみに満ちた三界(現実世界)を燃え盛る家に喩え,その家に遊び戯れている子どもたちを衆生(生きとし生ける人々)に喩える。子どもたち(一切衆生)の欲する羊・鹿・牛の引く三つの車が門外にあると誘い出して,父親である釈尊は火宅から彼らを救い出し,彼らに,一台の大きくて白い立派な牛車を与える」
この喩話を医療現場に当てはめて考えたら,どういうことになるか。
燃え盛る家は病室,その家の中にいる子どもたちは患者さんやそのご家族,方便である三つの車は医療そのもの,子どもを救い出す釈尊は医療の提供者たちということになる。最後の立派な牛車については後ほど触れる。
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