特集 アピアランスケア Up to Date
アピアランスケアとは
野澤 桂子
1
Keiko NOZAWA
1
1目白大学看護学部看護学科
pp.223-228
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_223
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アピアランスケアとは
「Appearance(アピアランス)」とは「外見」のことであり,アピアランスケアは,日本で作られた造語である1).現在は,本特集にあるように,一般的な用語として,広くがん医療の領域で用いられている.もっとも,その定義については,がん患者に対する研究の深まりとともに,シンプルに症状部位のカモフラージュを指すものから,大きな変遷をみせている.本稿では,医療の場で看護師が行うアピアランスケアについて,目的・主体・対象・手段を明確にした下記の定義に基づいて概説する.
アピアランスケアとは,「がんとその治療によって外見の変化が生じる患者に対して,その身体的問題,心理的問題,社会的問題をアセスメントし,医学的・整容的・心理的・社会的手段を用いて,外見の問題から生じる患者の苦痛を緩和することによって,クオリティ・オブ・ライフを改善する医療者のアプローチ」2)である.換言すれば,患者が家族を含む人間関係のなかで,生き生きとその人らしく過ごせるよう支援することであり,その背景には,少なくとも,外見の問題で患者に適切な治療を受ける機会を失わせない,という医療者の使命がある.
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